木蘭辞について

読書等

ムーランの大元ネタ

古代中国の花木蘭(ファ・ムーラン/か もくらん)という英雄的な女性を題材にした様々なドラマや作品、芸術が生まれています。
ディズニーアニメ・映画のムーランが日本では有名なのかとも思いますが、筆者は個人的にヴィッキー・チャオ演じる『ムーラン』(2009年)が好きです。

そのムーランの大元ネタとなる中国の古代詩、『木蘭辞』(あるいは『木蘭詩』)は想像が色々膨らみます。元々の詩は既に詠み人知らずとなっていますが、それがまた却って悠久の歴史を彷彿とさせるような浪漫を感じます。

YouTubeで木蘭辞を何気なく音で聴いて、久しく触れていなかった漢詩の韻律に感動してしまいました。(決して全て聴きとれたわけではないんですが。)

木蘭辞

以下、木蘭辞の本編です。

《木蘭辞》  無名氏

喞喞復喞喞 木蘭當戸織
不聞機杼聲 惟聞女歎息
問女何所思 問女何所憶
女亦無所思 女亦無所憶
昨夜見軍帖 可汗大點兵
軍書十二卷 卷卷有爺名
阿爺無大兒 木蘭無長兄
願爲市鞍馬 從此替爺征

東市買駿馬 西市買鞍
南市買轡頭 北市買長鞭
旦辭爺孃去 暮宿黄河邊
不聞爺孃喚女聲 但聞黄河流水鳴濺濺
旦辭黄河去 暮至黑山頭
不聞爺孃喚女聲 但聞燕山胡騎鳴啾啾

萬里赴戎機 關山度若飛
朔氣傳金柝 寒光照鐵衣
將軍百戰死 壯士十年歸

歸來見天子 天子坐明堂
策勲十二轉 賞賜百千彊
可汗問所欲 木蘭不用尚書郞
願馳千里足 送兒還故郷

爺孃聞女來 出郭相扶將
阿聞妹來 當戸理紅妝
小弟聞姉來 磨刀霍霍向豬羊
開我東閣門 坐我西閣床
脱我戰時袍 著我舊時裳
當窗理雲鬢 對鏡貼花黄
出門看火伴 火伴始驚惶
同行十二年 不知木蘭是女郞

雄兎脚撲朔 雌兎眼迷離
兩兎傍地走 安能辨我是雄雌

「花木蘭」という人物とは

以下、Wikipediaより一部抜粋。

木蘭は、中国における伝承文芸・歌謡文芸で語られた物語上の女性主人公。木蘭の姓は「花」「朱」「木」「魏」など一定していないが、京劇では「花木蘭」とされる。

また、重ねてWikiより引用しますが、

木蘭は中国では英雄的女性であるが、鮮卑族だったというのが学界の主流の見解である。木蘭は、唐代以降、漢人の社会概念を加味した口承物語として漢人に伝えられたが、その後の作品の改編で木蘭の遊牧民の出自が消去され、明代には徐渭の『雌木蘭』に、北魏や胡族がおこなっていなかった纏足というストーリー加味された。遊牧民の女性は兵士として男性と共に戦争を戦っていたとみられ、2020年、考古学者のChristine LeeとYahaira Gonzalezは、モンゴルから出土した女性の遺骨の関節炎、骨格の外傷、筋肉の付着の痕跡などからから判断して、生前に「弓を射る武術に長けていた」可能性のある鮮卑の女性であることを特定し、匈奴や突厥よりも鮮卑の女性の方が騎乗していたことを発見し、鮮卑の平民女性は騎兵として常時戦争に赴いていたのではないかと推測している。

これはつまり、木蘭(或いはモデルとなった女性)は夷狄(中華世界から見た異民族の総称、蔑称)の側に属していたということでしょうか。コンテンツの流布と変遷の過程で、中国大陸内での木蘭像に更新が入ったのですね。学術分野の方々の、新発見や解明などの多大な功績には本当に頭が下がる思いです。
馬を駆り戦場に赴く古代の女性達。どんなだったのでしょうね。

日本人で木蘭詩を紹介している方々のサイト

先秦漢魏六朝詩歌辞賦編 木蘭辞(詩詞世界)

読み下し、注記、韻の構成(平仄)の説明、関連画像に至るまで素晴らしい充実ぶり。
木蘭辞に興味を持った学生さんなどは真っ先にこのページに辿り着くのではなかろうか。
他のページも大変魅力的。こまめにサイト更新されてます。

「詩詞世界」管理者様
突然なお願いにも関わらずコンテンツの紹介掲載にご快諾いただきまして誠に有難うございました。

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ムーランの詩

上記Webページは作りびとしらずになっています。
色々お伺いしてみたかったけど、運営者の方はどうされているのかな。